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研究内容
 TiO2電極 / ナノ粒子構造 / ナノワイヤ構造 / 逆オパール構造
TiO2電極
 増感剤にナノスケールの半導体を用いた半導体量子ドット増感太陽電池は光吸収係数が大きいことや量子サイズ効果の発現があることから高効率な太陽電池の達成が期待されている。
特に電子の輸送材である
TiO2電極はナノ構造の違いにより光電変換特性に大きな影響を及ぼすため、
最も注目されている要素の一つとなっている。

 

例えば、

 

1.         増感剤に吸着サイトを提供する上で、比表面積の大きな構造が求められる。

2.         電子輸送層として、エネルギー損失が少なく円滑に輸送可能な構造が求められる。

3.         電解質溶液が良く浸透する多孔質構造が求められる。

 

特に13は、増感剤における電荷分離機構に大きく影響するため、TiO2電極の構造の選択は非常に重要である。ナノ粒子の他にナノチューブ、逆オパール(IO : Inverse Opal3)など様々な種類の構造が提案されてきた。




ナノ粒子構造
 

ナノ粒子構造とは、直径数十ナノメートルのTiO2微粒子を凝集させた構造である。ナノ粒子構造の利点として、その表面が多孔質化されていることから、多くの増感剤を吸着できるため、高い光電流を得ることが可能である点が挙げられる。しかし、各TiO2微粒子間の粒界を多く含み、この粒界が励起電子の散乱要素として働くと考えられ、電子輸送特性の点で課題を有するとされている。

 








図1. 基板上のTiO2ナノ粒子の模式図
 



図2. TiO2ナノ粒子の表面SEM画像




 ナノワイヤ構造

 多くの粒界を持つナノ粒子構造に対して、ナノワイヤ構造では励起された電子が粒界に妨げられずに移動される。また、一次元的な構造を持つことから移動方向が限定されるためスムーズな電子移動が可能となる、以上の点から、生成された光電流の損失を少なくすることが期待できる。反面、ナノ粒子構造よりも表面積が減少し、それに伴い増感剤の吸着量も減少してしまうが、ナノワイヤ構造を用いた量子ドット増感型太陽電池において、ナノ粒子電極に対して光電変換特性が向上したという報告がある[2]。
 



図3. 基板上のTiO2ナノワイヤの模式図

 


図4. 基板上のTiO2ナノワイヤの模式図
 

逆オパール(Inverse Opal: IO)構造

 

 IO構造の作製方法は多々報告されているが、本研究室ではその中でも比較的簡便に作製可能な手法を用いている。均一に分散させたポリスチレンラテックス溶液中に基板を垂直に固定した後、その溶液を蒸発させることでポリスチレンラテックスが基板上に自己組織化し、最密構造に充填されることで鋳型が形成される。次に鋳型の空孔にTi源を充填した後、熱処理によってポリスチレンラテックスを除去することで規則的な三次元構造を有するIO構造を得ることが出来る(図5)。

 


図5. 逆オパール構造TiO2電極の作製方法


  従来のナノ粒子構造は多くの粒界が存在しているため、規則的な構造を有するIO構造は、従来よりもスムーズな電子輸送がなされることが報告されている[3]。また、IO構造は他の構造と比べて、大きな孔を有することから、電解質溶液が浸透しやすく、増感剤と電解液の間でのキャリアのやり取りが円滑に行われるといった興味深い性質を有している。さらに、IO構造のような異なる屈折率をもつ物質を周期的に配列させた結晶はフォトニック結晶と呼ばれ、このような結晶には特定の波長の光の伝播が禁止されるフォトニックバンドギャップと呼ばれる領域が存在する。この領域の近傍では光が局在化するため、これを上手く利用することで光の捕集率向上が期待されている。



図6. 逆オパール構造TiO2の表面SEM画像
出典
[1] Tang, J. et al. Quantum dot photovoltaics in the extreme quantum con nement regime: the surface-chemical origins of exceptional air- and light-stability. ACS nano 4, 869 (2010).
[2] M. Akimoto, 修士論文. (2015).
[3] L. J. Diguna, 博士論文. (2009).
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